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メディアのことばを読み解く7つのこころみ
3・11原発事故以後のメディア言語においては、社会の諸問題から目を逸らさせようとする「誰かの意図や誘導」が見え隠れする。本書は、そうした情報操作の実態や可能性を、言語分析のツールを活用して科学的に解き明かし、目に見える形で示そうと試みたものである。新聞やテレビ番組、知事の記者会見、インターネット上の情報などを批判的談話分析などのアプローチを用いて批判的に分析しているが、語り口はやさしく絶好のメディア分析入門の書と言えよう。
執筆者
庵功雄、今村和宏、大橋純、神田靖子(修了生)、名嶋義直、野呂香代子 -
批判的談話研究とは何か
日常に溢れるメディアなどの談話的実践が、いかにして社会階級間、男女間、民族的・文化的な多数派・少数派の不均衡な権力関係等を生産し、再生産しているのか。批判的談話分析(CDA)は、構成的、問題指向的、学際的なアプローチによって、そうした社会的現状を明らかにし、変革するための示唆を与えてくれる。本書はR・ヴォダックらのCDA入門書の第3版であるが、著者らはこの本において、CDAは一つの方法ではなく、理論、方法、分析、応用やその他の実践を含めたものであるとの見解から、今後、批判的談話研究(Critical Discourse Studies CDS)と呼ぶことを推奨している。第3版では、メディアの変化に伴って以前の版にはなかったSNSやコーパスなども分析の対象に含めており、方法論もより具体的になっている。
原著者
Ruth Wodak, Michael Meyer ほか訳者
野呂香代子、神田靖子(修了生)、石部尚登(修了生)、梅咲敦子、木部尚志、嶋津百代、高木佐知子、義永美央子(教員) -
右翼ポピュリズムのディスコース – 恐怖をあおる政治はどのようにつくられるのか
本書は、近年世界中でみられる右翼ポピュリスト政党の台頭と興隆について、その躍進を支える要因としてそのディスコースに着目し、分析を行った批判的談話研究である。彼我を分かつために駆使される巧妙な「コード化された言葉」、利害の異なる多様な聴衆に同時に語りかけるために戦略的に用いられる「計算された両義性」など、「他者」を排除する修辞を通して排外主義、外国人嫌悪、人種主義、反ユダヤ主義が常態化されていく「恐怖をあおる政治」がものの見事に明らかにされている。
原著者
Ruth Wodak編訳者
石部尚登(修了生)+野呂香代子+神田靖子(修了生)訳者
藤崎好子、長岡みゆき、中川慎二 -
コミュニケーションテクスト分析 – フランス学派による言説分析への招待
ソルボンヌ大学言語学教授によるベストセラー書籍の翻訳。本書では、広告、雑誌・新聞などメディアのテクストに焦点をあて、記号学的分析から一歩進んだ最新のフランスの言説分析の方法論を全21章で紹介。テクストの言説分析をより論理的に実践するための方法論とその事例研究が満載された、フランス言語学を専門にする学生、研究者のみならず、メディア研究に携わる研究者等幅広い読者を対象とする、学際的分野としてのメディア言説分析方法論の手引書である。
執筆者
ドミニク・マングノー訳者
石丸久美子+高馬京子訳(修了生) -
コミュニケーションを枠づける – 参与・関与の不均衡と多様性
Framing Communication: Facets of Imbalance and Diversity in Participation
日常の相互行為(やりとり)に参加するとき、意識しようとしまいと私たちはある種の枠(フレーム)を形成する。ゴフマンによって提案された「参与枠組み」を、単なる情報伝達の域を超え、有象無象の関わりの中から立ち現れるものと捉え、再定義する。
編著者
片岡邦好+ 池田佳子+秦かおり (教員) -
出産・子育てのナラティブ分析 – 日本人女性の声にみる生き方と社会の形
少子化、待機児童、虐待、貧困…。こうした社会問題は、統計的な調査のみでは解明できない。本書は、当事者たちの思いを「語り」としてナラティブ分析することで、出産・子育てへの「意識」、それにかかわる「環境」、それに参与する「立場」を明確に描き出す。次世代を生み育てる過程で、社会的孤立感や閉塞感、不安感に苛まれることなく、充実感と自己肯定感を見出せるようになるために、社会はどのように変わるべきか。
編著者
秦かおり(教員), 岡本多香子, 井出里咲子 -
10:04
作者はオースターやフランゼンが絶賛する1979年生まれの若手。詩人としての評価も高く、本作の自意識的な主人公の語りでも、その独特のリズムを存分に味わえる。「同時に複数の未来に自分を投影してみようと思う」と冒頭で宣言するこの語り手を通じて、私たちはいくつもの、現実とは「ほんの少し違う」世界を目撃する。図版多数収録。
執筆者
ベン・ラーナー訳者
木原善彦(教員) -
実験する小説たち
登場人物がいて、順序だったあらすじがあって……といういわゆる「普通の小説」の枠組みや手法をあえて壊したり、ずらしたり、逸脱したりしながら、小説のさらなる表現の可能性を広げるために「創作上の実験的な試み」がなされた「実験小説」。実験小説のさまざまなタイプを切り口に、主な作品の読みどころと、一連のおすすめ作品リストを掲載。実験小説に特化した初のガイド本を手に、めくるめく実験小説の世界へ!
執筆者
木原善彦 -
土着と近代 – グローカルの大洋を行く英語圏文学
イギリス、インド、パキスタン、アフリカ、カリブ、オセアニア、日本の現代文学や文学理論、文化表象をとりあげ、「土着」と「近代」の様態を多角的に論じる。全9編中、本研究科の教員と修了生が4編の論文を寄稿:伊勢芳夫「書き換えられた土着」、木村茂雄「土着と近代、ローカルとグローバル」、小杉世「オセアニアの舞台芸術にみる土着と近代、その超克」、杉浦清文(修了生)「カリブ海地域における〈新〉植民地主義と土着/近代」。
執筆者
栂正行+木村茂雄(教員)+武井暁子 -
Towards Effective Teaching Methods in EFL Listening for Intermediate Learners
本書は、日本人英語学習者の中でも特に中位層を対象に、効果的なリスニング指導法や学習法について論じている。本書の特徴は大きく以下のように4つに分類される。
1. 日本人英語学習者の中で一番人数が多い中位層を対象としている。
2. 学習者のリスニング能力に応じた最適の指導方や学習方法を提案している。
3. 実験前後の実験協力者のリスニング能力測定や分類に標準テストを用いた。
4. リスニング能力向上には、メタ認知能力の向上が鍵となることを明らかにした。執筆者
上田眞理砂(修了生) -
英語のデザインを読む
阪大英文学会叢書第8号となる本書は、文学と語学のコラボレーションにより、英語の魅力の原点回帰として、ことばが織りなすデザインを読み解き、英語の真髄に迫ろうとしたものである。19編中、3篇が言語文化研究科教員の論文である。
大森文子(教員)「メタファーのデザイン」。
小口一郎(教員)「ホーン・トゥックの英語解放運動」。
稲木昭子・沖田知子(教員)「公爵夫人の講釈」。執筆者
沖田知子(教員)+米本弘一 -
オルフェオ
微生物の遺伝子に音楽を組み込もうと試みる現代芸術家のもとに、捜査官がやってくる。容疑はバイオテロ? 逃避行の途上、かつての家族や盟友と再会した彼の中に、今こそ発表すべき新しい作品の形が見えてくる――。一人の音楽家の半生の物語は、マーラーからメシアンを経てケージ、ライヒに至る音楽の歩みと重なり合いながら、テロに翻弄される現代社会の姿をも浮き彫りにしていく。危険で美しい音楽小説。
執筆者
リチャード・パワーズ訳者
木原善彦(教員) -
民のいない神
ピンチョンとデリーロの系譜に連なる、インド系イギリス作家による、「超越文学」の登場! 砂漠にそびえる巨大な岩山「ピナクル・ロック」。そこで起きた 幼児失踪事件を中心に、アメリカ先住民の伝承から、UFOカルト、イラク戦争、 金融危機まで、いくつもの時空を往還し、予測不能の展開を見せる傑作長篇。
執筆者
ハリ・クンズル訳者
木原善彦(教員) -
対人関係構築プロセスの会話分析
円滑な関係を築くための会話とは何か。本書は、外国人留学生と日本人学生の日常会話を長期的に採録し、そのダイナミックな関係構築のプロセスを会話分析の手法によって明らかにしたものである。社会文化的属性を前提とせず、会話そのものから彼らがどのような立場を前景化させているのかに着目した。本書には「褒めと自己卑下」「からかい」「遊びとしての対立」などの、話者らの自己イメージの構築に関わる現象に焦点化した分析を収めている。
執筆者
今田恵美(修了生) -
ESP教育のニーズ分析 – 産学のグローバル人材
本書は、産業界と大学でのESP (English for Specific Purposes = 専門分野別の英語) 教育の理論と実践について、ニーズ分析を主眼として述べている。産業界では、筆者がホテルで実践した企業内英語教育を紹介し、更に、大規模なアンケート調査によりホテル業界における英語教育のニーズを明らかにしている。大学でのESP教育では、学生の専門分野における英語のニーズを分析し、その結果に基づいた教育実践を行い、動機づけの観点から教育の効果を考察している。
執筆者
岩井千春(修了生) -
A Study on Metaphorical Evaluation in Written Texts from a Perspective of Cognitive Linguistics
本書では、書き手が比喩表現を使い「評価」を表す仕組みを、認知言語学の観点から論じた。さらに、認知言語学的な比喩表現へのアプローチが、翻訳研究でも有効であることを示した。分析対象は英語の大規模電子コーパスや日英語新聞記事を含み、本書第4章から第6章にはそれぞれ、1)人を動物に喩える英語直喩表現、2)音楽を描写する日英語の共感覚比喩、3)村上春樹氏のエルサレム賞受賞スピーチにおける比喩表現についての研究を収めた。
執筆者
歳岡冴香(修了生) -
Metaphor of Emotions in English: With Special Reference to the Natural World and the Animal Kingdom as Their Source Domains
本書は、感情を理解するための概念メタファーの構造と写像の仕組を認知言語学の枠組で探究するものである。従来の認知メタファー論 者が用いてきた内省に基づく作例ではなく、大規模コーパスのデータ、英詩などの文学作品、辞書などの小規模コーパスに記載された慣用表現を研 究対象とし、日常言語、文学の言語の両方の成立基盤となるメタファーの認知メカニズムを探究する。
執筆者
大森文子(教員) -
それはどっちだったか
本訳書は、アメリカの国民作家であるマーク・トウェインが、晩年期に長く断続的に書き継いだ長編小説である。生前は未発表であったこの作品は、南北戦争前のアメリカ南部の田舎町を舞台とし、人種問題をプロットの一部に組み込んだ暗く苦みに満ちた物語が展開する。一般的な明るいイメージのトウェイン像を大きく裏切る異色作であり、国内外で長く黙殺されてきたが、盛期から晩年に至る作家の歩みを凝縮した〈隠れた代表作〉として位置付け、詳細な解説を付して訳出・刊行した。
執筆者
マーク・トウェイン訳者
里内克巳(教員) -
アリスのことば学 – 不思議の国のプリズム
出版150年後の今もなお世界中の人々を魅了する『不思議の国のアリス』に込められた遊び心や面白さを、ことばにこだわって読み解く。細かい語法や表現を複眼でじっとみる「虫の目」、鳥瞰して大きな構図や仕掛けをみる「鳥の目」、時代の流れをこえて尽きせぬ魅力をみる「魚の目」といった多様な視点から迫るとともに、ことば学というプリズムを通して作者キャロルのことばと論理の多彩な輝き(prisms)をとらえる。
執筆者
稲木昭子+沖田知子(教員) -
ことばの「やさしさ」とは何か – 批判的社会言語学からのアプローチ
本書は大阪大学大学院言語文化研究科の教員および卒業生、在学生が中心となっ て編まれた論文集である。「やさしさ」を共通のキーワードにしながら、日本語教育、医療のことば、ろう教育、言語景観、震災と原発などのさまざまな事象にアプローチしてい る。言語や社会現象を研究の対象とするものが、それぞれの実践や思索、具体的な調査に基づいて、「やさしさ」という、古くて新しい価値を再評価し、対話の可能性を提供する。
執筆者
義永美央子(教員)+山下仁(教員) -
ドイツ語の社会語用論(講座ドイツ言語学 第3巻)
ドイツ語を対象とした言語研究の最新成果を積極的に発信する学術的な入門書『講座ドイツ言語学』(全3巻)の第3巻。第1巻『ドイツ語の文法論』、第2巻『ドイツ語の歴史論』に続く最終巻となる本書は、言語と社会・コミュニティ・メディアとの関係をとりあげ、ドイツの言語学の立場からダイクシス(直示)、会話分析、スタイル、ポライトネス、コミュニケーション能力といった基本的な概念について説明している。読者の読みやすさと使いやすさのため、各章に関連するコラムを、巻末に全3巻の日独英術語対照表を付した。
執筆者
渡辺学+山下仁(教員) -
フローベール研究 – 作品の生成と構造
本書は、フローベール(1821-1880)の文学の全体像を、テクストの生成過程と作品構造の両面から捉えようとした試みである。全体は二つの部に分かれ、第Ⅰ部はテクストのいわば表層からのアプローチであり、生前に刊行された作品を中心にその構造や形式(フォルム)を把握しようとするのに対し、第Ⅱ部ではより深層に入って、草稿や原資料を読み解きながら、フローベールの文学創造の根底にある宗教家的な側面を浮かび上がらせている。
執筆者
金﨑春幸(教員) -
映画に見る日米相互イメージの変容 – 他者表象とナショナル・アイデンティティの視点から
本書は、他者表象のもつ文化的な機能に関する仮説を提示し、その仮説に基づき、戦時中とそれ以降のアメリカ映画における「日本人」の映像と日本映画における「アメリカ人」の映像を分析する。つまり、他者に倒錯した自己の姿を投影するという人間の心の作用が生み出す他者表象に着目し、逆説的に、戦後の日米の国民意識や国民としてのイメージの形成、つまりナショナル・アイデンティティの再構築を読み解こうとするものである。
執筆者
池田淑子(立命館大学国際関係学部准教授) -
これは小説ではない
究極的には、主題さえ持たない芸術作品。それが〈作者〉の望みだ。まったく物語のない小説。これは小説か、究極の反小説か? 死に取り憑かれた作家のただの繰り言か? トリビア好きな文学・芸術愛好家のための〈死〉小説? あるいは、新たなる『フィネガンズ・ウェイク』か?
執筆者
デイヴィッド・マークソン訳者
木原善彦(教員) -
シガレット
実験的文学者集団「ウリポ」の鬼才による、精緻なパズルのごとき構成と仕掛け。ニューヨーク近郊に暮らす上流階級13人の複雑な関係が、時代を往来しながら明かされる。絵画、詐欺、変死をめぐる謎……。その背後でいったい何が起きていたのか?
執筆者
ハリー・マシューズ訳者
木原善彦(教員) -
幸福の遺伝子
スランプに陥った元人気作家の創作講義に、アルジェリア人学生がやってくる。過酷な生い立ちにもかかわらず、彼女はいつも幸福感に満ちあふれ、周囲の人々をも幸せにしてしまう。やがてある事件をきっかけに、彼女が「幸福の遺伝子」を持っていると主張する科学者が現れ、国民的議論を巻き起こす――。鋭敏な洞察の間に温かな知性がにじむ傑作長編。
執筆者
リチャード・パワーズ訳者
木原善彦(教員) -
トマス・ピンチョン
現代世界文学の巨人、トマス・ピンチョンに迫る論集。「現代作家ガイド」シリーズについに登場! 満載のギャグやポップカルチャーと高度な知性の混交、圧倒的な情報量、複雑な構成、ノンストップで走りまくるストーリー……。研究者はもちろん、文学ファンにも好評の「現代作家ガイド」シリーズの最新刊は、その作風を一口には語るのが難しいだけでなく、公に姿を現さず、プロフィールがいまだ謎に包まれる作家トマス・ピンチョンを取り上げます。
執筆者
麻生享志+木原善彦 -
放浪のユダヤ人作家ヨーゼフ・ロート
ハプスブルク帝国の末期、その東端のガリツィアのユダヤ人の町ブロディ(現ウクライナ)に生まれ、帝都ウィーンに学び、ワイマル共和国時代のベルリンで作家兼ジャーナリストとして活躍、ナチス第三帝国の成立とともに亡命生活に入り、第二次大戦勃発の前夜、パリで客死したヨーゼフ・ロートの足跡とその作品とを、丹念な現地調査をもとに克明に論究した本邦初の本格的モノグラフィー。評論家三輪智博評「放浪のユダヤ人作家の移動の軌跡と作品世界とを立体的に描くことに成功している。彼を支えた亡命出版人の姿も丁寧に描き込んだ、文学的芳香に満ちた評伝。」
執筆者
平田達治 -
日本文化紹介 和独辞典
「天下り」「阿吽の呼吸」「肉食系女子」「東日本大震災」など、新語、俗語、難訳語をカテゴリー別に配列した和独辞典。自然科学や環境問題や人間の身体などに関わる単語も多数収録。俗語などはいつごろから使用されているかも、可能な限り記述。難訳語については、語の意味内容をどのように説明すればいいか、さまざまな工夫を凝らしている。
執筆者
中埜芳之(名誉教授)+Oliver Aumann(教員) -
経部引用書から見た『説文解字繋傳』注釈考
南唐・徐鍇の著した『説文解字繋傳』は、現存する中国最古の字書である『説文解字』の全体を通して注釈を施した最初の著作である。宋代には尊重されたが、清代に酷評されて以降、ほとんど研究対象とされていない。徐鍇は注釈中に多くの書物を引用しているが、これらの引用に対する評価が、『説文解字繋傳』そのものの評価を左右している。本書は、特に数の多い『易』・『書』など経部の書物の引用を分析することにより、その評価の妥当性を検討するとともに、徐鍇の注釈の特徴を明らかにしようとしたものである。
執筆者
坂内千里(教員) -
Brüche in der Geschichtserzählung: Erinnerung an die DDR in der Post-DDR-Literatur (錯綜する歴史の語り – ポスト東ドイツ文学における東ドイツの想起)
1990年以降、東ドイツの出身者は崩壊した国家をいかに想起し、語るのか。過去を懐かしむ言説や統一ドイツのナショナリズムの言説だけではなく、「東ドイツ」や「ドイツ」といった特定の帰属を問いに付すような語りが、文学作品には多く見られる。本書は「工業地帯」「シベリア」「水没都市」など、崩壊した東ドイツのイメージが投影される五つの形象に注目して作品群を分類し、既存の歴史観やアイデンティティを解体するダイナミズムに満ちた想起の語りに迫る。
執筆者
宮崎麻子(教員) -
「反抗者」の肖像 – イギリス、インド、日本の近代化言説形成=編成
今日流通している世界の歴史は「真実」なのだろうか?――19世紀以降の世界を考える際、「近代化言説」というキーワードが不可欠です。帝国主義の時代、主に英語媒体によって世界中に「近代」が急速に広められた。しかしそれはあまりにも乱暴であったため、様々な言説的「反抗者」が生れた。この本は、イギリスの「近代化言説」の猛威の中で様々な「反抗者」の抗うインドと日本の姿を、文化論的方法で再現を試みたものです。
執筆者
伊勢芳夫(教員)