本書は、他者表象のもつ文化的な機能に関する仮説を提示し、その仮説に基づき、戦時中とそれ以降のアメリカ映画における「日本人」の映像と日本映画における「アメリカ人」の映像を分析する。つまり、他者に倒錯した自己の姿を投影するという人間の心の作用が生み出す他者表象に着目し、逆説的に、戦後の日米の国民意識や国民としてのイメージの形成、つまりナショナル・アイデンティティの再構築を読み解こうとするものである。
執筆者:池田淑子(立命館大学国際関係学部准教授)
出版社:大阪大学出版会
出版年月:2014年3月